活性酸素の恐怖、そして糖尿病
|
活性酸素は殆どの病気の元凶です。
活性酸素は人間のDNAを攻撃して遺伝子に異変をもたらす事が分かっています。我々人間が一日に呼吸する酸素の量の約1〜2%が活性酸素に変換されています。この量は人間の偶発的な発がんを2倍に増加させるのに必要な放射線の量(約0.2Gy)の約1,000万倍にも相当するのです。しかし安心して下さい。ヒトにはこの活性酸素から身体を守る防御システムが備わっています。ただ、この防御システムで追いつかない活性酸素が体内で発生していたら・・・・。考えただけでも恐ろしいですね。
最近、「活性酸素は老化に関係がなかった」と言う研究結果が発表され、ニューズ等でお知りになった方も多いかと思います。研究内容によると、活性酸素は細胞内のミトコンドリアを攻撃しない・・・と言う事らしいです。しかしミトコンドリアを攻撃しないだけで「老化に関係ない」と言い切るのは危険です。何故なら体を構成している細胞を破壊するのが活性酸素の恐怖です。老化に関与するのは明白ではないでしょうか。
最近では「活性酸素」が各メディアで取り上げられて、別に珍しい名前ではなくなりました。逆に耳慣れしてしまい、皆さんの活性酸素対策も手薄になっているかも知れません。
今回は、皆さんに非常に身近な例で活性酸素の恐怖についてお話します。
|
私がトレーニング指導するクライアントで、「糖尿病」を患っている方が何人かいます。この方々に共通して言えることは、今まで活性酸素対策を殆ど考えていなかった点です。
「活性酸素と糖尿病」・・・この二つの関係は切っても切れない関係で、糖尿病を治す上では忘れてはならないものです。「血糖値コントロール」に主眼を置かれた治療法では、治癒するどころか、合併症が発生し悪化する事が多いのです。
「現代医療の目覚しい進歩」と言われ続けて久しいですが、糖尿病の患者数は増加の一途で、治療法すら確立されていません。いわゆる「対症療法」と言われるものが現代医療で使われる手段です。今、目の前にある症状を和らげるもので、病気を根治させるものではありません。事故による骨折、出血など応急処置が「対症療法」です。現代医療では病気にも「対症療法」で解決しようとする点に無理があり、慢性的な病気となり悪化して行くケースが多くあります。糖尿病の場合は「血糖値が高い」→「血糖値を下げる」と言う考えのみです。「何故血糖値が高いのか?」「合併症を防ぐ為に必要な栄養素は?」等とは考えません。
難病に処方される薬も結局は病気を悪化させるものが多いのです。例えばパーキンソン病ですが、これは脳にある黒質と言う部分の神経細胞に異変が生じ、ドーパミンが分泌されなくなる病気です。モハメド・アリ、マイケルJフォックス、ローマ法王・・・などの著名人でも有名になった病気で、体が動かなくなる病気です。症状が悪化し続けると最終的には、飲食も出来なくなります。現代医療ではこの病気に対して、不足するドーパミン剤の投与を行います。そうすると動かなかった体がウソのように動きます。それを繰り返す間に、症状は進行し薬も効かなくなります。それは他の「難病」全般に言える悪化の傾向と同じです。
冒頭で活性酸素は殆どの病気の元凶であると、述べました。それでは簡単に活性酸素がどんなものか見てみましょう。
|
リンゴをむいて、そのままにしておくと実の部分が茶色く変色しますね。これは空気中の酸素により「酸化」されたからです。クギなどの錆も同じです。人間の身体でも酸化が起きているのです。人間は酸素を取り入れなければ生きていけませんが、この酸素の変身した「活性酸素」が老化、がん、生活習慣病などを引き起こしているのです。人間の身体は約60兆個もの細胞で出来ていると言われています。血管も神経も筋肉も全て細胞からなりたっています。この細胞一つ一つは不飽和脂肪酸を主な材料とする細胞膜で守られています。これは天ぷら油などと似ており、非常に酸化しやすいものです。活性酸素は体内で細胞膜の不飽和脂肪酸を酸化させ、過酸化脂質にしてまい、細胞内のDNAやミトコンドリアに障害を与えます。細胞内には私達が生きていく上で大切なものがたくさんあります。がん抑制遺伝子、DAN修復遺伝子・・・これらも活性酸素の攻撃を受け機能せず、変異を起し自らの身体をも攻撃します。また活性酸素はタンパク質や酵素も攻撃し、それらの本来の機能を失わせます。
|
酸素の摂取量が寿命を決めると言っても過言ではありません。
ここで面白い実験があります。同じ種類、同じ数のイエバイをそれぞれ大きさの違う飼育用容器で育て、グループごとの寿命を調べるものです。勿論、容器には空気が入るようにされています。皆さんは「大きい容器」にいるイエバエと「小さい容器にいる」イエバエのどちらが長生きすると思いますか?「小さい容器」の方が窮屈でストレスが溜まり、それが原因で早く死ぬと思われがちですが、全く逆の結果になっているのです。大きい容器のイエバエは広々とした飼育用容器を自由に飛びまわら、小さい容器のイエバエよりも多くの酸素を消費した結果、活性酸素が体内で大量に発生し、その結果早く死んでしまったのです。小さい容器の方は狭く窮屈ですが、酸素消費量が大きい容器よりも少なく活性酸素の量も少なかったため、長生きしたと見られています。
また、活性酸素は呼吸からだけではなく、放射線、紫外線、車などの排気ガス、タバコ・アルコール、過度のスポーツ、ストレスなどの影響でも発生するのです。
|
活性酸素の発生は私達の目では見ることの出来ない分子、原子のレベルで起こっていることです。不安定な酸素分子(不対電子)が安定する為に、他の酸素分子から電子を奪う事を連鎖的に繰り返しているのが酸化です(電子を奪われる=酸化)。そして、電子の奪い方によって生成される活性酸素の種類が違います。
@スーパーオキサイドラジカル
細胞内のミトコンドリアが酸素からエネルギーを生成する時に出来ます。体内では酸素分子から最初に大量に生成されます。
A過酸化水素
不対電子を持ちませんが、非常に不安定で僅かな切っ掛けで強い毒性を放出する為活性酸素の一つとされています。また、スーパーオキサイドラジカルと反応して生成されます。漂白剤、殺菌剤、消毒剤(オキシドールなど)も過酸化水素です。
B一重項酸素
放射線、紫外線にあたると体内で大量に発生します。皮膚がんの原因にもなります。
Cハイドロキシラジカル
活性酸素の生成過程で最後にできるもので、1個のハイドロキシラジカルが50%の確率で人を死に至らしめるほど、強力な酸化力を持つ活性酸素です。
|
「活性酸素と糖尿病は切っても切れない」と述べましたが、どのような関係なのでしょうか?
糖尿病は「T型」と「U型」の二つのタイプがあります。 T型は先天的に自己のインスリン分泌能力が少ない為、インスリン注射が必要になるので「インスリン依存型糖尿病(IDDM=Insulin
Depend Diabetes Mellitus)」と呼ばれています。 日本国民の糖尿病患者数は700万人を超えると言われています。そのうち約95%以上をもう一つの「U型」の糖尿病「インスリン非依存型(NON・IDDM)」が占めています。
糖尿病とは「糖の代謝異常」です。私達の体がブドウ糖を細胞内に取り込むのには「インスリン」と言う、すい臓にあるランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンが必要となります。例外として脳細胞はインスリンを必要とせず、ブドウ糖を取り込めるので糖尿病の人でも、脳細胞での糖の代謝異常は起きないと考えられています。
T型(IDDM)は、体内にいる時の母親の食生活や、本人の幼少の頃の食生活などが原因で自己免疫疾患やアレルギーなどで、すい臓のランゲルハンス島の細胞が破壊され、インスリン分泌が極端に少なくなり糖の代謝異常が起きるタイプです。
|
U型(NON・IDDM)は基本的にはインスリンは分泌されており、糖の代謝異常が起きてしまうタイプです。空腹時の血糖値が140mg/dlを超えると糖尿病と診断されますが、U型は高い血糖値を下げようとする為すい臓が頑張り、通常の2倍ものインスリンを分泌します。この糖尿病初期の段階に動脈硬化が密かに進行し、後の合併症の下地が出来上がってしまいます。日本人の糖尿病の殆どがこのU型糖尿病(NON・IDDM)ですが、何故糖の代謝異常が起きるのでしょうか?
食物から得たブドウ糖(糖質)は腸から吸収され、門脈と言う血管で肝臓に送られます。そして肝臓でグリコーゲンとして蓄えられ、徐々に血液中に放出されていきます(この際、またブドウ糖となる)。このグルコースは細胞の中に入って分解され、細胞内の器官であるミトコンドリア(一つの細胞に50〜1,000個以上存在)で機能しクエン酸サイクルに乗り、ATP(アデノシン三燐酸)と言うエネルギー物質を生成する材料となり、最終的には炭酸ガスと水に分解されます。糖尿病の人はこの代謝に何らかの異常が起きているのです。しかし、はっきりとした原因が分かっていないのが実情です。
|
グルコースが細胞の中に入り込むのには、細胞膜を通過しなければなりません。細胞膜は自身の細胞を保護している膜です。グルコースが細胞膜を通るのには、細胞表面にある「インスリン受容体(一つの筋肉細胞に60ほど存在)」が細胞の奥に潜んでいる「グルコーストランスポーター4(糖輸送体)」を呼びだし、細胞膜のドアを開けグルコースを通過させます。言ってみれば「インスリン受容体がドアの鍵」で、「グルコーストランスポーター4がドア」だと思ってください。
要するに
・ 血糖値が上昇
・ 糖を細胞内に取り込ませる為にすい臓からインスリンが分泌
・ 細胞表面のインスリン受容体がインスリンをキャッチし、グルコーストランスポーター4がドアを開ける
・ グルコースを細胞内に通過させる
と言う流れです。そして、この鍵とドアが上手く機能しない為に細胞内に入れないグルコースが血液中を徘徊し、血糖値が高いままになるのです。
現代医療の殆どは「糖の代謝異常」の改善に着目せず、高くなっている血糖値を下げる事に主眼を置く為、「インスリン誘発剤」「血糖降下剤」等を投与します。
すい臓は「インスリンが足りない!」と判断しどんどんインスリンの分泌しているのに、インスリン誘発剤を投与されると、すい臓は疲れ果ててやがてインスリンの分泌能力を失うでしょう。そして、最終的にインスリン注射が必要となり、U型糖尿病(NON・IDDM)がT型糖尿病(IDDM)になってしまう事も少なくありません。
|
では、何が大切なのでしょうか?
「ミネラルと活性酸素」がキーポイントです。
まず、細胞内に取り込まれないグルコースは血液中を徘徊しますが、約1〜2時間後には中性脂肪になると言われています。そして厄介な事にすぐそばにある物と引っ付いてしまうのです。グルコース同士が引っ付いて団子状になり血管内で詰まると、脳梗塞、心筋梗塞の発生する危険性が大きくなります。更に赤血球をも巻き込み、タダでさえ細く通りにくい毛細血管をより通れなくしてしまいます。また抗酸化ビタミンや抗酸化酵素などとも引っ付き、それらの「活性酸素を除去する機能」を失わせます。そうすると活性酸素が細胞膜を攻撃し破壊すると炎症が起き、その炎症が更なる強力な活性酸素を大量に発生させます。すい臓のランゲルハンス島は体の中でも活性酸素の攻撃に最も弱いと言われており、インスリン分泌への悪影響が出てしまいます。またグルコースには変形したものがあり、それがSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)と言う、体内で最も抗酸化力のある酵素(つまい活性酸素除去に有効)とも結合し、その能力を奪います。そして悪いことにグルコースと結合したSODが活性酸素を大量発生させてしまうのです。
|
糖尿病の人の尿中には糖が出ていると言うのは、皆さんご存知でしょう。これは余分なグルコースを早く体外に排出しようとする働きの為ですが、実はこの時にミネラルの亜鉛・マグネシウムが通常の倍も排出されているのです。そして、この亜鉛欠乏、マグネシウム欠乏、セレニウムなどのミネラル欠乏が恐ろしい糖尿病の合併症の根本的原因となるのです。
亜鉛はインスリン生産には無くてはならないミネラルです。亜鉛欠乏ではインスリン分泌がうまくいきません。また体に取り込まれたタンパク質がアミノ酸に分解され各部位でタンパク質に再合成される際にも亜鉛は重要な働きをします。すい臓、網膜、筋肉、皮膚、前立腺、睾丸、舌、などに特に必要です。
|
3大合併症には網膜症、腎臓障害、神経障害です。また壊疽を起し脚を切断する人、網膜症が進行して失明する人、人工透析が必要になる人など様々です。神経障害に至っては、男性でも痛くて涙を流し夜も眠れないほどの激痛に発展する人が少なくありません。糖尿病はそれほど恐ろしい病気なのです。
これらの合併症は活性酸素が引き起こす原因が殆どです。網膜症の様な眼の疾患は目で発生した活性酸素(紫外線や人工的な光などが原因)が網膜の血管を構成する細胞の細胞膜を酸化し、血管を破り眼底出血を起すのが原因です。
実は亜鉛が眼には一番多く存在し、視覚神経の働きに必要なものです。また網膜の血管細胞の中ではマグネシウムが重要になります。マグネシウムが不足すると、細胞の働き(細胞のイオンポンプ作用)が悪くなり、その細胞で出来ている血管が破れやすくなります。
腎臓の毛細血管は人間の体の中でも最も細く、弱く活性酸素の攻撃を受けやすい所です。 網膜と同じく、マグネシウムの不足が腎臓の血管をもろくさせ破壊し、腎臓機能に以上をきたし血尿が出たりする原因と考えられています。
神経も細胞で出来ていますが、勿論例外なく活性酸素によって酸化されやすい脂質で覆われた細胞です。
|
そしてインスリンの受け皿であり細胞膜表面にあるインスリン受容体の働きを良くするのにはセレニウムが大切です。
セレニウムも非常に大切な抗酸化作用のあるミネラルです。抗酸化力に優れたSODは活性酸素に結びついて過酸化水素の状態にする働きがあります。しかし残念なことに、その状態のままでは過酸化水素は、次に発生する活性酸素と結びついて、よりたちの悪い活性酸素へと変わります。それを解決するのが「グルタチオンペルオキシダーゼ」です。グルタチオンペルオキシダーゼは過酸化水素から酸素分子を一つ取り除いて、水に還元しま。その作用は強力で全身で行われます。グルタチオンペルオキシダーゼは、活性酸素により酸化された細胞をアルコールと水に還元し、抱合解毒作用により、抗ガン剤や他の薬物からも体を守っていきます。グルタチオンペルオキシダーゼは体内で生成され、それに必要な原料となるのがミネラルの「セレニウム」です。セレニウムを十分に補給することで、体内では次々とグルタチオンペルオキシダーゼが生成されていきます。酸化による老化と組織の硬化を予防し、亜鉛と協力することで有害金属(鉛、カドミウム、水銀)の不活性の働きをします。 抗酸化作用はビタミンEの50〜100倍で、体の細胞内で過酸化物質を分解します。 また、体内の傷、外傷などの傷を治りを早めたり、前立腺の障害を取り除くとされています。
|
勿論、総合的に栄養素を摂取することが大切ですが、こと糖尿病に関しては 亜鉛、マグネシウム、セレニウムの積極的な摂取が大切です。他にはクロム、バナジウム、ビタミンB群、ビタミンC、その他抗酸化作用のある物質等の微量栄養素の摂取と、単糖類の摂取を抑える事(血糖コントロール)、そして運動(特に食後の有酸素運動はグルコーストランスポーター4の働きを良くすると言われている)で、糖尿病は克服出来る筈です。
私のクライアントの重度の糖尿病も活性酸素対策でかなり改善しています。神経障害は若干残っていますが、骨盤矯正等の併用でかなり楽になっています。眼の疾患である黄斑変性症(物がゆがんで見える)と網膜症も改善し、心配されていた自動車免許の更新をパスする事ができました(眼の活性酸素対策にはルテインも有効です)。
糖尿病は活性酸素対策、ミネラル対策を重視しないと悪化するばかりです。 「糖尿病は治らない」と言われるのはここに原因があるのではないでしょうか?
現代医療で進められる糖尿病の治療は「血糖値コントロール」です。医師からは「食事制限でカロリーを抑えなさい」と言われ、食事の量を減らすのが普通でしょう。しかし、通常の食事でも不足している亜鉛、マグネシウム、セレニウムが、極端な食事制限(カロリーと糖質のみを考慮した)においては、更に不足を招き、体にとっては非常事態となります。その結果、糖尿病が悪化し、合併症が発生する・・・。
幸いなことに一部の医師達はこの辺りに気が付いてきているようではあります。
皆さん、活性酸素対策、ミネラル対策は十分でしょうか?
|